このサイトの数字を、そのまま信じないでください

2026-08-09 公開 / 公的統計を読むときの7つの注意点

当サイトは官公庁が公開しているデータを地図とランキングに変換して掲載しています。数字そのものは公式のものですが、公的統計には必ず「何を数えていて、何を数えていないか」という定義があり、そこを知らないまま読むと簡単に間違えます。

この記事では、当サイトのデータをどう読むべきかを7点にまとめます。最後に、運営者自身がこのサイトのデータで間違えた実例も載せました。

1. 「平均所得」は世帯年収ではない

年収マップが掲載しているのは、総務省「市町村税課税状況等の調」にもとづく個人住民税の納税義務者1人あたりの課税対象所得です。

この3点を踏まえないと、「この街の人はみんな年収500万円台なのか」といった読み方をしてしまいます。平均は「多くの人がそのくらい」を意味しません。少数の高額納税者がいれば、それだけで平均は跳ね上がります。

2. 「公示地価」は実際の取引価格ではない

地価マップの数値は国土交通省の地価公示で、毎年1月1日時点の「正常な価格」として不動産鑑定士が評価したものです。実際に売買された価格ではありません。

また、公示地価は全国の限られた標準地でのみ調査されます。掲載している市区町村別の中央値は、その市区町村内にある調査地点の中央値であって、市内すべての土地の平均ではありません。調査地点が数地点しかない自治体では、地点の位置によって数値が大きく動きます。当サイトが各ページに地点数(n)を出しているのはこのためです。

坪単価は1坪=約3.31m²で換算した参考値です。

3. 「認知件数」「救急搬送人員」「定点当たり報告数」は、どれも実数ではない

指標実際に数えているもの数えていないもの
熱中症 救急搬送人員 救急車で搬送された人数 自分で医療機関を受診した人、受診しなかった人
感染症 定点当たり報告数 指定された定点医療機関1か所あたりの週間報告患者数 定点以外を受診した患者、受診しなかった患者

とくに定点当たり報告数は「患者数」ではありません。地域間・週次の比較に使うための指標で、そのまま人数として読むことはできません。救急搬送人員についても、受診行動が地域や年齢で異なれば、搬送者数の差は「発生の差」ではなく「届出の差」を映している可能性があります。

4. 調査年はアプリごとに違う

複数のデータを見比べるときに最も見落とされるのがこれです。当サイトの各アプリは、それぞれ別の官公庁が別の周期で公表しているデータを使っているため、調査時点が揃っていません。

アプリ別の調査時点一覧
アプリデータの時点
人口推移マップ2025年 国勢調査(年齢3区分のみ2020年)
年収マップ2023年度課税分 = 2022年中の所得
地価マップ2026年(令和8年)1月1日時点
事故マップ2024年(令和6年)
熱中症マップ2025年5〜9月
感染症マップ週次(最新週)
地震マップ直近約1か月・自動更新
降水量検索アメダス実測値・日付指定

つまり「所得が高くて地価も高い街」を見るとき、所得は2022年、地価は2026年の数字を並べていることになります。4年の開きがあります。傾向をつかむには十分ですが、厳密な同時点比較ではありません。

この「年次のズレ」は結論を変えることがあります。たとえば全国4位の北海道猿払村の872.7万円は2022年の所得で、中国が日本産水産物の輸入を停止した2023年8月より前の数字です。

5. 同じページの中でも年次が違うことがある

人口推移マップの市区町村ページには、人口と高齢化率が並んでいます。しかし人口は2025年国勢調査、年齢3区分(高齢化率・15歳未満比率など)は2020年国勢調査です。年齢別の集計は公表が遅いためで、この5年の差は当サイトの都合ではなく元データの都合です。

高齢化はこの5年でも進んでいるはずなので、掲載している高齢化率は実際より低めである可能性が高いと考えられます。

6. 政令指定都市は「市」と「区」が両方あり、単純に足すと2倍になる

ここが最大の落とし穴です。国勢調査のデータには、政令指定都市について市全体の行と、その中の区ごとの行が両方入っています。東京都についても、23区それぞれの行に加えて「特別区部」という集計行があります。

コード名称人口
01100札幌市1,964,034市全体
01101札幌市中央区255,882
01102札幌市北区285,798
…区は全10件、合計1,964,034市全体と同額
全部を単純に合計すると3,928,068実際の約2倍

当サイトのランキングは市区町村1,741件(政令市は「市」で1件、東京23区は独立した自治体として扱う)を対象にしていますが、元データをそのままダウンロードして合計すると、政令市のある都道府県の人口が過大になります。

⚠ 運営者自身がこれを踏みました。

この記事を準備している最中、熱中症の「人口10万人あたり搬送者数」を計算する際に、県人口の合計から政令市の区と特別区部を除き忘れました。その結果、東京都の値を実際の約6割に見誤り、都道府県間の最大差を「3.9倍」と算出していました。

正しくは2.37倍です(大分県128.3人 対 神奈川県54.1人)。検算は簡単で、市区町村の人口を合計して約1億2,300万人になれば正しく、それを大きく超えたら二重計上しています。

7. 事故マップだけ、都道府県コードの体系が違う

当サイトの多くのアプリはJISの都道府県コード(01=北海道、13=東京都、47=沖縄県)を使っていますが、事故マップだけは警察庁の管轄コードを使っています。元データがその体系だからです。

コード事故マップ(警察庁)他のアプリ(JIS)
13北海道(釧路方面)東京都
47山梨沖縄県
30東京(該当なし)
97沖縄(該当なし)

さらに北海道は5つの方面本部(札幌・函館・旭川・釧路・北見)に分かれており、コードは10〜14です。事故マップのURLに出てくる番号を、他のアプリのURLにそのまま貼り替えるとまったく違う地域のページが開きます。

それでも公的統計を見る価値はある

ここまで7つの注意点を挙げましたが、これは「データが当てにならない」という話ではありません。定義を知ったうえで使えば、公的統計は個人の印象よりはるかに正確です。

むしろ危ないのは、定義を確認せずに順位だけを引用することです。当サイトも各ページに出典と注記を必ず載せていますが、読み飛ばされやすい場所にあるため、この記事にまとめました。

当サイトは個人が運営しており、官公庁の公式サービスではありません。二次集計や表示の際に誤りが生じる可能性があります。数値のおかしな点に気づかれた場合は、このサイトについてのページに記載の連絡先までお知らせください。確認のうえ修正し、更新履歴に記載します。

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データ出典